ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔

旅の仲間はゴラムを案内役に滅びの山を目指すフロドとサム、オークに囚われたメリーとピピン、そして彼らを救うべく追跡しローハン国に入るアラゴルン、ギムリ、レゴラス…の三手に別れ、それぞれが中つ国の命運を懸けた戦いに直面する。

先日『〜王の帰還』までのIMAX上映を完走したところですが、二作目であるこの『〜二つの塔(以下、TTT)』の記事を書き忘れていました。
シリーズ三部作の中で恐らく一番の人気作だと思うし、わたしもやっぱりTTTが一番好きです。

旅の仲間が三手に別れる事によって映画的にバラバラになってしまいそうなものですが、それがないというだけでもすごい構成力だと思います。
前作『〜旅の仲間』のIMAX版でも新たな発見がありましたが、TTTで顕著だったのは物語世界の位置関係がしっかりしている、という点でした。
白の魔法使いとなって復活したガンダルフと合流後、エドラスに向かうアラゴルン一行の行程の途中で画面奥で煙が三本ほど立っている事に今回初めて気づきましたが、あれは最初の方で描写されたオークの襲撃を受けた集落なんですね。
その後ローハンの民衆がヘルムズディープに避難する描写や、オスギリアスでファラミアの軍勢が地図を広げるシーンなどから、中つ国の地形がなんとなく掴めてくる…これは物語世界の感触として最高に贅沢だと唸りました!

あと何と言ってもヘルムズディープの戦いは20年経って観ても正直、これを超える戦闘シーンは生まれていないと思いました。
技術的な面だけじゃなく、黒澤映画的なカタルシスや美学的といった魂の高貴さがひしひしと伝わってくるんですよね。
そんな中でもコミカルな場面があったり、子どもも夢中になるような作りが施されているから大人も何度でも観たくなる。

クライマックスでの「こんな酷い事ばかりが起きてしまった世界はこれからどうなってしまうのか?」というサムのスピーチが9.11後を意識している事は確か製作側も言及していましたが、20年後の現実が公開当時より更に酷くなっている事に改めて打ちのめされそうになります。
けどこんな現在だからこそ、主要人物の中で最も力の無さそうなメリー&ピピンが「自分たちも世界の一部なんだから無関係ではない」と立ち上がる姿にほんと涙、涙ですよ。
この物語は最も体の小さい種族が内に秘めた力を発揮する、という点が真に胸に迫るんですよね。

また近いうち『〜王の帰還』についても書きたいと思います!

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