ガンパウダー・ミルクシェイク
犯罪組織に属する暗殺者の母を持つサムは母親の失踪後、同じく暗殺者となる。
ある仕事でターゲットの娘を匿った事から組織に追われる身になった彼女は、かつての母の仕事仲間で今は図書館員をしている女3人を頼る。
カレン・ギランとレナ・ヘディが暗殺者母娘を演じるハードボイルドアクション。
「えっ女性チームのアクション映画ですが何か?(男性だけのチームものだったら何も言いませんよね?)」って映画が堂々と出始めてからかなりもう定番化した感があります。
少し前に公開されていた『355』は残念ながら観れなかったので今作は絶対に観たかった!
わたし的には『ゲーム・オブ・スローンズ』でも毒親役が板についてたレナ・ヘディを観たかったので念願叶いました。
主演のカレン・ギランは戦士役が多い(というか普通の人の役見たことない)ので立ってるだけで「この人絶対強いな!」って説得力がある。
手足が長くて背筋がピーンと伸びていて細いのに体幹はしっかりしてる感じ、絶対強い!
母親の愛情を求めながら常に飢えている、という主人公のサムが、あるきっかけで少女を匿う逃走劇は現代版『グロリア』といった感じ。
それでもグロリアほどの揺らぎの無さはまだ備わっていない、ちょっと不完全な部分のあるサムと、しっかり者の少女エミリーとの掛け合いも楽しい。
逃走序盤、腕が使えなくなったサムの、エミリーの助けを借りながらの戦闘シーンはバリエーション豊かで最高でした!
車の運転をエミリーにさせる所は笑いもありつつ、何か心温まる感じもあり『ロード・トゥ・パーディション』を思い出させて印象深い。
彼女らが助けを求めて逃げ込む先が図書館、ってところがこの映画最大のオリジナリティであり魅力でしたね!
図書館が出てくる映画、って結構あってずっと前に雑誌の特集でイラストを描いた事もあります。
で、犯罪がらみの映画に図書館が出てくると本の中身をくり抜いて銃が入ってる…っていうのが定番ですが、この映画でももちろんそこは外してない上にタイトルにちなんだ武器やアイテムが本に収納されている…ってゲームみたいなアイデアと「本愛」が素晴らしい。
ヴァージニア・ウルフ、ジェーン・オースティンなどの作家名を聞くだけでもこの映画が何を語っているのかが分かるし、更にその選書の内容を知っていれば膝を叩いてしまうようなチョイス…らしいです!(すみません、読んだ事がなかったのでちゃんとは分かってないんですが!)
そこで助けてくれる3人っていうのが母親の元仲間、っていう世代間の関係性がまた良い。
特にミシェル・ヨー先輩が鎖持って戦ってくれるとか心強いにもほどがある!
もちろんレナ・ヘディも参戦してくれる訳ですが、彼女と図書館員リーダーのアンジェラ・バセットの間にはちょっとでは消えない確執もあって、そこがどう解消されるのか?も熱いです。
つまりこれはエミリーを含む3世代のシスターフッドものなんですね。
描きたいことのシンプルさ、加えて図書館に50年代ふうのダイナーなど背景も楽しい。
爽快この上ない映画でした!!