ザ・スイッチ

この映画は2020年末に劇場予告で見て楽しみにしていたら第4波が来て映画館に行けず、あれ観たかったなぁ〜と思ってたら4月に上映されてて無事観に行けたのでした。
その後また時短の影響なのか近所のシネコンでは初夏あたりにも上映されてました。
この1年半はこんなふうに時勢に振り回された映画がたくさんありましたよね。
てか007とかまだ上映できてない作品もあるし!
何年か経ったら「あの映画もそうだった、この映画もそうだったね〜」なんて映画好き友達とお酒飲みながら話せるのかな?
早くそんな日が来てほしいものです。

わたしが最初にこの映画について仕入れた情報は「殺人鬼&女子高生版の『君の名は。』」という事だったんですがその字面の強さにやられました。
入れ替わりものって古今東西、映画にもマンガにもほんとに多いですよね。
特に日本のマンガで長期連載するとだいたいある。
ジョジョ5部でそれを読んだ時には「ついにジョジョまで…!」と驚いたものです。
確かに慣れ親しんだキャラクターが外見そのままに別人の言動をする、っていうのはおもしろいんですよね。
けど2時間で始まって終わる映画で、キャラクターへの思い入れがまだほとんどない状態でそれをしようとするとよほど突拍子のない設定じゃないと引き込まれないので、そのほとんどが男女の入れ替わりになるんですが。

で、今作もその例に漏れてはないんですがなんといっても「殺人鬼と女子高生が入れ替わる」ってアイデアの一点突破で大成功だった思います。
すごくいいのがかわいい女子高生の外見なんだからさすがに殺さないだろう、と思ってたらめちゃくちゃ殺すんですよね。
しかも殺し方のクセが強い。
テニスラケット使ったやつがよかったな〜。

ハイスクールもの×殺人鬼 っていうのも定番ですがハイスクールものは昨今、意識アップデートがされた良作ドラマ(Netflixオリジナルの『セックス・エデュケーション』など)や映画がたくさん生まれているのでちゃんとそれらの影響を受けているのが偉い。
主人公の親友(ゲイの男子と黒人の女子)の存在がとても良いです!
映画のなかで殺される事が多い事を揶揄して「ヤバい!ウチら真っ先に殺されんじゃん?だってゲイと黒人だよ!!?」って本人たちが言い合うのとか冴えてる。
あとこれルッキズム問題に関してなのかただのギャグなのかって聞けれたらたぶん後者なんだけど、外見おっさんになったにも関わらず主人公と前からいい感じだった男子が「それでも君が好きだ!」みたいになるの、絵面ギャグなのにちょっと感動しましたよ。
最近のアメリカ映画ってこういうコメディですら社会問題をサラッと盛り込んでくるのほんとうまい。

あと男女間の入れ替わりもので絶対あるトイレ問題だったり、女の体になった男が胸を触ったりなんかのシーンもあるにはあるけどラッキースケベ的な描写がないのは好感持てます。
ヴィンス・ボーンがほんとにヤバい殺人鬼のくせに入れ替わり後は一回だけ胸を確認する(触る とか 揉む ではなくガッと手を当てる感じ)という紳士ぶり。
女子高生の方もトイレで恥ずかしがるどころか「いや〜膀胱にこんなに貯められるんだね!めっちゃ便利!」って単純に身体の違いに感嘆してるっていう。
今更そんなんで恥ずかしがんねーよ、っていうのがいいですね。

一見雑でバカなホラーなのに細かい気配りがされているところに感心できる、まさに2020年以降に観るティーンズホラー娯楽作だと思いました!

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