ゲティ家の身代金

石油王にして世界一の資産家、ジャン・ポール・ゲティの孫の誘拐事件が起きるがゲティは身代金の支払いを拒否する。
1973年に実際に起きた誘拐事件をリドリー・スコットが映画化。

2017年の映画で日本公開は2018年だったんですが見逃していて、2月に『ハウス・オブ・グッチ』を観た後「そういえばリドリー・スコットで富豪一族の実話ものあったな」と思い出してやっとNetflixで観ました。
『ハウス・オブ・グッチ』の時も登場人物みんなマンガみたいだったって事でマンガ風イラスト描きましたが、この映画も同様だったのでまた描きました。

実話って事が信じられないぐらい非道い話でしたね〜。
しかも非道いのは誘拐犯ではなく、誘拐された子の実のじじいっていう。
このJ・P・ゲティって人は大富豪であると同時にとんでもないドケチなんですが、よく「金持ちがケチなんじゃなくケチだから金が貯まるんだ」って言いますがそんなレベルの金持ちじゃないんです。
確かに身代金1600万ドルってものすごい金額ですが、このゲティじじいは毎日でも国宝級の美術品を買えるぐらいのお金があって、現在カリフォルニアにじじいの名前の美術館があるぐらいの美術品収集家でもある。
で、じじいは絵画に描かれた少年を見て「かわい〜かわい〜」って言うんですけど現実の孫に命の危機が及んでるって事態には全く心を動かされない。

ドケチエピソードとしてすんごいのが、富豪宅に来てた息子の嫁が「電話貸して」って言って執事に案内されたら道とかに普通に設置されてるような公衆電話が屋敷の中にどーんとあって「これを使ってください」と。
で嫁がドン引きしながら「小銭持ってないんやけど」って言ったら執事が「両替できますんで!!」っつって両手に小銭詰まった袋持ってんの。
今だったらスマホの充電もタダではさせてくれないんだろうな〜〜
あとせっかく立派な暖炉があるのに使ってなくてその前にハロゲンとか普通の電気ストーブ置いて点けてたり、『こち亀』の中川級に金持ちなのにセコいっていう、マンガみたいに濃いじじいでした。

しまいには誘拐犯の方が誘拐した少年に対して「お前の家族どうかしてんな…」って同情して身代金を半額に。
最終的にはそのまた半額まで下げるっていう。
少年の前で覆面を被ってる誘拐グループがうっかり覆面なしで対面してしまって「しまった…!!」ってなるシーンが2回あって繰り返しギャグみたいで笑ってしまった。
とはいえ、このグループもめちゃくちゃ組織的でかなり怖かった。
少年の世話係で連絡係のチンクアンタ役は結構好きなロマン・デュリスでした。

ノンフィクションですが演出上変更してる部分もあって、特に一番残酷でショッキングなあるシーンは実際の記事を読むともっと心理的に複雑だったり、誘拐された少年や他のゲティ一族の人生について読むと「お金ってなんだろう?」って思いました。
お金は大事だしもちろん欲しいですけど、まあわたしは衣替えの時期に毎回躊躇せずにクリーニング代を払えるぐらいの余裕があればいいかな。

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