ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間(IMAX版)
1954年に出版され、世代を超えて愛読されてきたJ・R・R・トールキン著『指輪物語』を2001年にピーター・ジャクソンが映画化した三部作の一作目。
冥王サウロンの邪心が込められた「一つの指輪」を葬るために、中つ国で最も純朴な種族・ホビット族の青年フロド・バギンズが仲間と共に旅立つ過程を描く。
9月16日からIMAXでのリバイバル上映が始まったので観てきました!
IMAX上映の発表があった時には「スタンダード・エディション(SE)かぁ〜スペシャル・エクステンデッド・エディション(SEE)を見慣れちゃうとSEって特に観る必要性がないんだよね〜〜」とか、クッソめんどくさい古参ファンみたいな事思ってしまったんですが謝ります!
やっぱIMAXはすごい!!
何度も観ているはずの映画ですが、めっちゃ視力が良くなった状態でまっさらな気持ちで再び中つ国に足を踏み入れたような、そんな感覚でした。
特に汗などの水滴がめちゃくちゃ良く見える。
誕生日スピーチの時のビルボがあんなに額に汗をかいてたとは20年経って初めて知りました。
だいたいみんな指輪が絡むとめっちゃ汗かいてた。
視界が良くなった感覚なので今まで気づかなかった通行人とか、ガンダルフがビルボ宅に到着した時に画面の左の方に馬がひとりで歩いてるのとか、今まで気づいてなかった気づきがあって驚いた!
そして映像面以外ではもちろん音響。
かつて池袋新文芸坐さんが上映権が切れるまで毎年SEEでの三部作一挙上映を催してくれていて、わたしも何度か観に行ったんですがあそこの音響がまあすごいので、IMAXといえど音響面での驚きはそんなにないかな?と、これまたいかにも古参が言いそうな事を思っていましたがそれも外れました!
ホビットたちがわちゃわちゃと喋ってるホビット庄でのシーンは、どれも今まで経験していない賑やかさで改めて「フィルムは生きている!」的な、時間を記録する映画という芸術表現のふしぎさを実感しました。
あと自分が歳をとったなと感じたのは、当時観ていた時よりアイゼンガルドで樹木が切り倒されてるシーンでめちゃくちゃ心が痛かった。
塔の先端に幽閉されたガンダルフを真上から映すショットで、地上ではあちこちで大量の樹がオークたちに倒されているのが見えて、このショットも圧倒的でした。
優れたファンタジーやSF作品は作者が意図する・しないにかかわらずその時代の社会問題を映す鏡のような役割を果たし、またそれができている作品こそが名作なんだと思いますが、そういう点でも改めてこの物語は偉大なんですよね。
話は少し逸れますが、現在Amazon Primeで配信されている『力の指輪』でダイバーシティを取り入れたキャスティングに一部のレイシスト(もしくは無自覚なレイシスト)達のバッシングが起きたせいで皮肉にもこの物語の優秀さが可視化された気もします。
ほんとにああいう事を言う人たち(決まって「私は差別主義者じゃないんですが…」から始まるところも哀れ)はなぜ製作者が自分たちをターゲットに作品を作ってくれるはずだと信じて疑わないのでしょうか?
差別以前にそこが不思議ですね。
あななたちは今作られているほとんどの海外作品のターゲットではないんだよ?と言いたい。
まあそんな時勢的な事も含めて『旅の仲間』は改めて素晴らしかった!
続く『二つの塔』は恐らく一番人気でわたしも一番好きなのですが、これもまた当時は9.11を意識して涙したものですが今観ると更にいろんな思いがよぎる事でしょう。
『二つの塔』と『王の帰還』でわたしの涙腺はどうなってしまうのか…という事だけが心配です。