『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』のこと
2008年〜2013年に放送された『ブレイキンング・バッド』と、そこに登場した弁護士、ソウル・グッドマンを主人公に据えたスピンオフ作品『ベター・コール・ソウル』はNetflixオリジナルとして現在最終シーズンが配信中。
最終シーズンであるシーズン6が始まってから毎週火曜日の更新を心待ちにしていましたが、なんと今週配信されたばかりのエピソード7が前半最終話という事で一旦休止、次の配信が2ヶ月後という事を昨日知ったわたしです。
えっ…嘘でしょ…無理なんだけど…という感じ。
まさかあいつがあんな事に…
再び姿を現したあいつは次に何をするのか?
あのキャラは助かるのか?それとも…
…などなど、全世界がヤキモキする2ヶ月間になる事でしょう。
ここには完結してから感想を書くつもりでしたが、ちょうど今ほかにネタもないしイラストも描いたし、ここで一度振り返ってみようと思いました。
5〜6年前、配信動画サブスクとして初めてNetflixのメンバーシップになり、最初に観始めたのが『ブレイキング・バッド(以下BrBa)』でした。
なのでBrBaはリアルタイムでは観れてなくて、既に完結してる状態で全62話を観始めたんだけど本当に一気に観終わって。
海外ドラマといえば「観始めると止まらない」とよく言うし、2000年代にも『24』『LOST』『プリズン・ブレイク』などでその感覚は経験済みだったけどBrBaほど「止まらない!」というのを味わったドラマは他にないです。
麻薬犯罪ジャンルだけあってまさに「中毒」。
「ハマった」という点では『ゲーム・オブ・スローンズ』が過去最高にハマった海外ドラマですが、あれは1話あたりの重厚感が映画並みに凄すぎて1日1話ずつしか観られなかった。
BrBaがすごいのはおもしろさが失速することなく最後までおもしろかったというところ。
長く続いたドラマは(ゲースロですら)だんだんと尻すぼみになる事が多いのでこれは本当にすごい!
そしてこのBrBaの前日譚にあたる『ベター・コール・ソウル』。
ソウルといえばBrBaのコミックリリーフ的存在だったのでコメディ色の強いドラマシリーズになるのかと当初は思ってましたが、だんだんと麻薬ビジネスとの絡みが増え、気がつけばまさにs5e3冒頭でアリの群れに食い尽くされる、道に落ちたアイスクリームみたいになっている…って流れがうますぎて唸る!
同時にソウルというキャラのおもしろさも健在で、陰湿で凶暴で好感を持つのが難しいBrBaの主人公ウォルターよりよほど取っつきやすい。
それでいてソウルには何か底なしの悲しさ虚しさもあって、キムに対する態度なんかは常に優しいし周りに人が集まってくる才能も持ってるのにときどきぞっとするぐらい心がない。
この善とか悪とかでは割り切れない、深く造形されたキャラクターたちの魅力がブレないからこそストーリーのおもしろさも継続してる。
考察サイトなんかがたくさんあるのでもう言われてるだろうけど、キャラクターの中で心の闇が深い人物ほど料理好きで人にもてなすのも好き、という位置付けもおもしろい。
逆に視聴者全員が大好きで信頼してる「善人」マイクは帰宅するなり缶ビール飲むだけ、とか食生活が適当。
逆の描写してる作品の方が多いと思うんだけど。
BrBaで「描かれなかった」余白は実はこのスピンオフのために「描かれていた」んじゃないか?ってぐらいにスッとピースがはまっていく最高の前日譚。
そのピースは単なる「出来事」ではなくキャラクターの心情だったりするので、ピースがハマる快感だけに収まらないところがまたすごい。
特にBrBaでのジェシーに対するマイクの温情は今作でのナチョという存在があってこそ…っていう繋がり方はもはや文学。
これが完結したらBrBaを最初からまた観よう、と思ってましたが後半までの2ヶ月に観てしまうんだろうな〜と思います。