モービウス

幼い頃から血液の病気を抱えながらも医師になったマイケル・モービウスは、自身と親友のために治療法を探し続けていた。
やがて自分を実験台に、吸血コウモリの血清を打つという危険な治療を進めるのだが…。
ジャレッド・レト主演のマーベル×ソニー・ピクチャーズ最新作。

公開の前に試写に呼んでもらもらったので、感想を書くと「ステマか!?」と警戒する人もいるでしょうがお金もらってないので全然そんな事はありません。
ただ、アメリカでの評価がちょっとあり得ないぐらい低い…ということで「そこまで酷い??」って、肩を持ちたくなる気持ちは正直あります。
ほんと…「そこまで酷い??」って思うんですが。
確かにちょっと2000年代の匂いがする(2000年代はヴァンパイア映画がやたら多かった)とは思いましたが、最近のマーベルがとにかく完成度高すぎなので比べると不憫だなあと。
不憫といえば本作はいろんな事情で公開が延びに延びたんですが、「あんなん最高に決まってんじゃん!」って大傑作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の後でしかもこの後同じ医師主人公の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が控えるタイミングで、さらにライバルのDCからはよりによって同じコウモリモチーフで陰キャ主人公って設定も被ってる『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が絶賛公開中!という時期に公開…という、不憫すぎる上映環境なわけです。
もはや呪われてるのでは??
ここまで来ると庇いたくなるのが映画好きというものです。

鑑賞前に得ていた情報は「謎の連続殺人事件が起き、容疑者は医師モービウス…」という導入だったので「ははーん。無実の罪を着せられた医師が逃走しながら真犯人を探すっていう『逃亡者』とかマンガの『MONSTER』みたいなやつね」って思ってました。
普通そう思うじゃないですか??
だって主人公だしマーベルヒーローだし。
したらさぁ…映画観たらさぁ…
アンタほんまに殺っちゃってんじゃん!!って。
びっくりしましたよ〜〜〜これは!

後で知りましたがモービウスってヒーローじゃなくてヴィランなんですね。
ソニーは『ヴェノム』が思いの外当たったので同じ路線を狙ったのかな。
だからなのか、コウモリパワーで変身した主人公は全然子供が憧れてハロウィンの仮装する感じじゃない!
『ハウス・オブ・グッチ』の後で久しぶりに本来の美しいレトが拝めるわ〜と思ったらコウモリなので豚っ鼻になるんです。
普段のモービウス先生はやたらかっこいい白衣(スタンドカラーのおしゃれなやつ)着てふわっとまとめた髪と後れ毛もイケてます。
けどもうちょっと「命を救う医師」と「人の血を吸う怪物」の間で悩むって描写があってもよかったかな。

モービウスの親友で同じ病気を抱えているマイロ役が『ラストナイト・イン・ソーホー』での悪役ヅラが記憶に新しいマット・スミスなんですが、このキャスティングがすごく良かったですね。
顔の造形が好きな感じの昔の海外イラストやコミックみたいで一気に気になる俳優になりました!
今夏放送開始の『ゲーム・オブ・スローンズ』前日譚『ハウス・オブ・ドラゴン』にも重要な役でキャスティングされてるのでますます楽しみになってきた!
あ〜きっとめちゃくちゃ嫌な奴でめちゃくちゃ酷い殺され方されるんだろうな〜〜
ちなみにキャスティング・ディレクターががGoTと同じニナ・ゴールドなので「分かってらっしゃる!」と膝を叩きたい。

そして更にポジティブポイントを挙げるなら上映時間が2時間以内に収まっている、という事でしょうか。
もう最近ほんとに競ってんの?って言うぐらい長いの続きましたからね〜。
本作では「絶対こうなるんだろうな」っていうある展開のシーンが直接描かれず、けどそれが起きたって事が主人公に伝わる方法がなかなか粋で、こういう省略の仕方は映画的で大好きだなと思いました。

すっかり定番化したエンドクレジット途中と最後のオマケ映像はなかなかびっくり…っていうか正直もう何が起きても驚かなくなってきましたが、ソニーとマーベルとの大人の事情も含めて今後どうなっていくのか気になるところです。

by
関連記事