ひまわり

結婚して間も無く第二次世界大戦が起き、ソ連に従軍させられた夫は戦地で行方不明になり終戦を迎えても帰ってこない。
妻は単身ソ連の地へ赴き夫を探すのだが…。
1970年代のイタリアを代表する俳優、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが主演を務める。

前回の投稿で猫の日だとにゃんにゃん言ってたのが嘘のような、最悪の事態が現実となってしまいましたね。
この映画で非常に有名な、観た人の心に強烈に焼きつく一面のひまわり畑のシーンがウクライナで撮影されたという事もあり、この1週間はこの映画についてのツイートが流れてきたりラジオでテーマ曲が流れたりしたのでわたしもイラストを描きました。

『ひまわり』は40代のわたしにとっても生まれる前の映画で、親の世代に人気のあった作品なんでしょうが(とはいえわたしの親は映画を観ない)それでもテレビで放映されていたり、なんやかやで観ていました。
この映画を含め、『禁じられた遊び』など戦争によってもたらされる悲劇を描いた古い映画はよくテレビ放映されていた記憶があります。
あと『シェルブールの雨傘』と同じように「戦争によって引き裂かれた恋人」といういわゆるメロドラマは美しいテーマ曲とともに日本人好みなんだと思います。

「メロドラマ」と書くとなんだか矮小化してるように見えますが全然そんな事はなく、ガツンと殴られるような、フィルムから来る圧がすごく強い。
ただただ見目麗しい男女が嘆き悲しんでるだけの作品ではないんです。
ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの存在がやっぱりものすごく強いんですよね。
静かに反戦を訴えかけてくるような映画も素晴らしいですが、こういう「なぜ愛する人を戦争に奪われなければいけないのか?」っていう当たり前に出てくる感情がどーんと伝わってくる。
現実でもこういう理不尽さについては声に出したりして可視化させる必要があるし絶対にやめてはいけないと思う。

冒頭、結婚した翌朝に新婚の習慣という事で夫が妻にめちゃくちゃでかいオムレツ(卵を24個使う)を作るシーンがあるんですが、『ファーゴ』(1996年)でも早朝に呼び出しを受けた妊娠中の警察官(フランシス・マクドーマンド)に夫(ジョン・キャロル・リンチ)が一緒に起きて卵料理を焼いてくれるシーンがありました。
卵を焼いてくれる、ってなんかいいですね。
もし料理慣れてないパートナーから早朝に「牛肉の煮込みを作ってやる」とか言われたら「えっ?やめて?」「キッチン汚すだけのパターンだよね?」って思うけど卵ってちょうどいいし優しい。

若い人にとってはほんとうに昔の映画ですが、CGもなく人間の感情だけが押し寄せてくるような映画なので驚きや新鮮さもあるんじゃないかと思います。
現時点では配信はされてないようですが機会があれば是非!

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