2021年映画マイベスト10!

毎年、誰にも頼まれてないのにその年のマイベスト10本を選んでしまう…
それは映画好きの性であり年末の習性なのです。
1〜2月、8〜9月は1本も観てなかった事もあって12月13日現在、映画館で観た作品数は34本と少なくともここ20年で最も少なく、平均の3分の1ぐらいの本数になってしまいました。
今年中にこの後観る『ラストナイト・イン・ソーホー』『ドント・ルック・アップ』などがもしかしたらめちゃくちゃ良いかもしれませんがそれはそれという事で、とりあえず10本チョイスしてイラストを描いたので公開順に紹介します。

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

学生時代からずっとリアルタイムでその熱狂に触れてきたエヴァ。
旧劇も好きなところたくさんありますが、新劇は街そのものの空間造形やインダストリアルデザインに毎回わくわくさせられました。
今回はびっくりするくらいきれいに終わったと思いましたがわたしはとても好きです。
エヴァのキャラ、みんなしんどいなって思ってたけど今回のでなんだかんだみんな好きだな〜とか調子いい事思いました!

ノマドランド

今年はクロエ・ジャオ監督の年でしたね!
主人公がアマゾンの倉庫で働くノマドワーカーと聞いて公開前はケン・ローチ監督の『家族を想うとき』のように資本主義に疑問を投げかけるような作品を想像してましたが、それとはまた違うもので驚きました。
アメリカを含む現代の資本主義の限界を描きながらも人間をどこまでも信じてるような目線が感じられる。
人間と、あと地球への愛!
『エターナルズ』を観た後だとジャオ監督はエターナルズの一員なのでは?と思ってしまう。

ファーザー

アカデミー主演男優賞チャドウィックに取ってほしかったなーと思ってたけどこれ観たら「そら取るわ…」って思いました。
わたしは映画を観て「思ってたのと違う!」と思うとラッキーだったな〜と思う方なんですがこれはまさに最高の「思ってたのと違う!!」映画でした。
なので、未見の方は予備知識なしで観てほしい!
父と娘が微笑み合うハートウォーミングな雰囲気のポスターを作ってくれた配給会社さん、勘違いさせてくれてありがとうございました!

Mr.ノーバディ

これは本当に予想外におもしろかった!
よくある「冴えないオヤジが実はめちゃくちゃ強かった!」というやつですなんですが、昔の勘を取り戻すまでに少し時間がかかって序盤はかなりボコボコにされながらも徐々に反撃していく…という立ち上がり方がアガりました!
主演はドラマの『ブレイキング・バッド』とそのスピンオフ『ベター・コール・ソウル』の胡散臭い弁護士ソウル・グッドマンでおなじみボブ・オデンカーク。
両ドラマでは吹き替えの安原義人さんがめちゃくちゃハマっていて今作でも安原さんなんだそう!
サブスク配信始まったら吹替版も絶対観たいという一本です。

プロミシング・ヤング・ウーマン

「映画は時代を映す鏡」とよく言いますが、的確にその時代を切り取った映画はやっぱり傑作が多く、後の時代にまで語り継がれるものです。
Me Too以降の時代を映すこの作品もそんな一本。
強姦事件を扱いながらそこは映像としては見せない、という演出も細やか。
蝶のように狂い踊り蜂のように的確に攻撃するキャリー・マリガンの、ポップと狂気と悲しみの体現から目が離せません。

17歳の瞳に映る世界

これも今年のMe Tooの流れを汲む映画の代表作。
主人公は望まない妊娠の末、親の許可なしで中絶ができない地元からそれが可能なニューヨークへ夜行バスで行くんですがなぜ女性だけがこんな苦労を?という理不尽。
そして未だ世界から顔をしかめられるほどの原始的な中絶しかできない国で1人で産み、悲劇的な結果になってしまった女性が罰せられるという日本には変えなければいけない事が山積みなんだと考えさせられます。
原題は『Never Rarely Sometimes Always』。
この言葉が劇中のどんなシーンで使われているかを是非確かめてほしい。

DUNE/デューン 砂の惑星

映画を観続けているとときどき遭遇する「完璧に別世界に連れて行かれた!」という感覚。
こんな映画に出会えることは本当にしあわせです。
身の回りの小物から大型の宇宙艦まで、現実世界から遠くかけ離れながらもどこか繋がっていると感じる世界。
この世界と物語が後の創作物たちにいかに影響を与えてきたかという事に、最新の映像技術をもって再認識させられるというなんとも不思議な体験。
それら全てが「宇宙!!」って感じ。
ティモシー・シャラメが美しい!という点だけにおいても歴史的偉業。

エターナルズ

いや〜〜〜こんなにマーベル作品にハマるとは!
これまでも好きは好きで毎作劇場で観てましたが『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー〜』もベスト10に入れようか最後まで悩んだぐらいよかったし、フェーズ4以降のマーベルめちゃくちゃ好きです!
とにかくこの作品がこの世に生まれてくれた事自体が嬉しい。
現実はなかなか難しい事ばかりだけど精神的にはこの世界は少しずつでも良い方向へ向かっているのでは?と思わせてくれる。

マリグナント 狂暴な悪夢

どうかしてる!!いい意味で!
これ本当に「ネタバレ厳禁」案件なんですが、例えオチをバラしたとしても「え〜?嘘でしょ?またまたぁ〜笑」って信じてもらえない可能性があるぐらいぶっ飛んでる。
こんなん…こんなん思いついても作らないよ!!
そんなめちゃくちゃやってくるくせに「女性の自立」という現代的なテーマをこれでもかと言うぐらい凶暴に直接的に描いて最終的に家族愛で締め括った力技に拍手したい。

パワー・オブ・ザ・ドッグ

Netflixでもう配信が始まっているんですが、絵的に大きなスクリーンで観た方が絶対にいい!と思ったので映画館で観ました。
壮大なモンタナの牧場で牛追いを営む兄弟、という一見「男らしさ」の象徴のような西部劇を思わせる画。
その影で昨今のジェンダー問題の1つとして語られる「男性性に縛られる男性」が静かに語られます。
こういう問題は昨日今日突然出てきた問題ではなくて、きっとずっと昔から苦しめられてきた先人がいるんだって思う。
ミステリーの要素もあって、それゆえに何とも言えない悲しさがある。

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