TOVE トーベ

『ムーミン』の生みの親として知られるトーベ・ヤンソンの芸術家としての苦悩、恋愛、自由を愛した生き方を描く。

ムーミンで連想するのはゆったりした、くつろいだ雰囲気だったり、ちょっと怪しげだけどそれがまた魅力なかわいらしさだったりしますが、やっぱりというか作者のトーベさんにはそういう部分もありながら一方で非常に情熱的衝動的で危なっかしい…映画に描かれていたのはそんな姿でした。
ジャズのスタンダードに乗せながらあれは…タップダンスなのかな?とにかく激しく跳ね回るダンスが印象的で、この姿はポスターにもなっています。

わたしは恥ずかしながらトーベさんについてほとんど何も知らなかったんですが、お父さんが著名な彫刻家だったんですね。
で、お父さんから見るとムーミンとか「なんだそんなマンガなんか描いてけしからん!」みたいな感じだから父娘仲はとてもぎくしゃくしている。
これは…親が芸術家じゃなくてもイラストやマンガを描く人は身に覚えのある経験じゃないでしょうか。
ムーミンはかなり早い時期から生まれていたんですが、彼女自身「芸術家」と呼ばれたい気持ちが強かったので本業の絵画より挿絵の方が好評なのが不満だった…というのは意外でした。
挿絵画家と作家を兼ねて、しかもムーミンは小説とコミックがあるのでかなりなマルチクリエイターという事になりますが当時は「絵で食うといえば絵画一択!」の時代だろうしいろいろ早過ぎたんでしょうね。

早過ぎたといえば恋愛面でも同性愛が今以上にハードル高かった時代だけど、やっぱり芸術家コミュニティーに身を置いてるのでまだ寛容な方だったのがホッとしました。
なんかもう昔の話とはいえ恋愛の嗜好で迫害されたりするのを見るのは辛すぎるので。

トーベさんの自宅兼アトリエの内装やホームパーティーの様子なんかがとにかく洒落ててすてきでした。
床に座ってお酒飲んだりするのがいかにも芸術家って感じでいいんですよね〜。

今まで当たり前に身近にあったムーミンですが、トーベさん自身のことも含めてもっと知りたくなりました。
同時に改めて、DHCとコラボした(現在は取り下げられましたが)日本のエージェンシーには今後もっと慎重になってほしいと思いました。

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