乙女の祈り
1954年にニュージーランドで起きた事件を題材に、ピーター・ジャクソン監督が映画化した1994年の作品。
この映画の7年後になるピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは全世界を虜にし、わたしもその1人でした。
「一番好きな映画は?」と聞かれるといつも悩みますが、リアルタイムで観て熱狂に近いハマり方をした映画って事になるとやっぱりLotRという事になります。
なにせ、ロケ地のニュージーランドに行ったぐらいなので。
『乙女の祈り』の舞台であり実際の事件が起きたクライストチャーチには確か行けなかったか短い滞在だったかのどちらかなんですが(1週間で北島・南島を訪れた、かなりタイトな旅だった)季節ごとの花があちらこちらに咲く、きれいな街です。
わたしが一番長く滞在した街はクイーンズタウンでしたが本当に平和そのもので、宿泊先の人に聞いた話だと最後に起きた犯罪は「万引き」との事でした。
今現在もコロナ対策が世界一成功しているといっても過言ではない超優等国なので、国民きっと心穏やかに過ごせてるんだろうな〜と思うと心底羨ましい。
なので、そんなニュージーランドでの実話、というのがなかなか衝撃な内容なのです。
ピージャクは元々自分ちの庭とか近所でホラームービーを撮っていたのが評価された監督なので残酷描写はお手の物だし、少女ふたりが自分たちの空想の世界にのめり込んでいく様子には誰より理解があったと思うので、本当にぴったりの題材だったと思います。
この映画の前は殺しすぎて笑ってしまうような、殺害方法の見本市みたいな(ホラーとしては最高に素晴らしい)作品しか撮ってなかったので、この映画がなかったらLotR映画化も実現していなかった確率は高い…と考えると映画史的にめちゃくちゃ貴重。
思春期ならではの不安定な精神世界を否定せず、彼女らの側に立ってこれ以上ないぐらいの美しい世界を構築して、そしてぶっ壊す。
もしピージャク作品を一本も観た事がない、という人がいたらLotRは完走するのが大変なのでこの作品をおすすめします。
余談ですが「LotR観た事なくて観てみたいけど3時間×3部作でしょ?」って言う人には「大丈夫!スペシャルエクステンデッドエディションだったら4時間×3部作だから余裕だよ!」って答えます。