ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

2020年のアメリカ映画。
グレタ・ガーウィグ監督が『レディ・バード』に引き続きシアーシャ・ローナンを主演にオルコットの古典小説を映画化。

最初にこの日本語タイトルを聞いた時は「『若草物語』でよくない??」と首を傾げまくりましたがもう若い世代が『若草物語』を知らない、だからいきなり『若草物語』って言われてもピンとこないんだと知ってちょっと愕然としました。
仕方ないのか〜〜若い人って一括りにしても本好きの人だったらきっと小学生ぐらいの時に学校の図書館とかで読んでるとは思いますが。
それにしても日本語タイトルは絶対長くなりますね。

わたしの世代だと日曜夜にアニメが放送されていたのが大きかったです。
小説も読んでいたし1994年版の映画も映画館で観ました。
だからあの四姉妹の性格といくつかの事件、誰と誰が結婚する…とかは頭に入った状態です。
改めて今回の映画版でこの物語に触れてみると、とにかく四姉妹のキャラがそれぞれ立ってて楽しいんですよね。
作者の分身的存在で小説家志望の次女ジョーが、どの作品でもやっぱり一番活き活きしていて引き込まれるんですが今回のシアーシャ版もほんと良い!
彼女が走ったりふざけたり踊ったりするシーンがどれも生命力に溢れていて素晴らしい。

そんなジョーをはじめ、四姉妹とお隣のローリーという若手5人がとにかく良くて、母親役のローラ・ダーンも大叔母様役のメリル・ストリープでさえ存在がかすんでる。
そういえば1994年版では四女エイミーは幼い頃(キルスティン・ダンスト)と成長後(サマンサ・マシス)は別々の俳優が演じてましたが今回はずっとフローレンス・ピュー。
どの映画でも彼女の存在感はすごいですが本作でも際立っていて「これぞ妹!」という強さと賢さが光ってました。

今回、何といっても一番の見どころは「ジョーの物語をどう着地させるのか?」というところでしょう。
ジョーが編集社に小説の持ち込みをする冒頭、編集者が言い放った「女の主人公は絶対結婚させるように。それか死なせるか」という言葉は今だったらびっくりするけどこの時代だったら仕方のない事で、そして原作を知っているわたしたちはジョーの未来を既に知っている。
そういう土台の物語をガーウィグ監督がどう料理するのか?
実は最初からラスト直前まで巧みに「仕掛け」がされていて、わたしたちはまんまとそれに乗せられ、ちょっといい気持ちになったところで種を明かされる…というある意味『若草物語』という古典らしからぬ構成なんですよね。
同時にとても『若草物語』らしくもある。オルコット女史はこのラスト絶対気にいると思う!

有名な物語を時系列どおりではなく、映画内の現在と過去が入り混じってる構成も本当にお見事で、それがいちいち年号をテロップで出すとかしなくても照明の差異による画だけで今見ているのが現在なのか回想なのかがすぐわかる。
特にベスの、物語上最も重要で有名なエピソードの描き方が秀逸でした。

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